ちょこっと記事
【中学生コラム】気仙沼の先生に提案します!八瀬で探究学習
10月12〜13日、まるオフィスに職場体験にやってきた新月中学校の2年生と一緒に「探究学習」の可能性を探るため、八瀬(やっせ)地区にリサーチに行ってきました。
結果、八瀬地区を舞台に各教科でいろんな探究学習が展開できると思い至ったので、そのアイディアをまとめます。中学校の先生や学生たちが、今後の授業をつくっていく上で参考にしていただければ幸いです。
八瀬 × 理科
新月中学校2学年のペンネーム「遊覧船」です。
理科の授業では「水質の変化は何か」や「水の流れはどのようになっているのか」「川に住んでいる生物は何か」などの「問い」を立てることができます。また「八瀬と自然のつながりは何だろうか?」という問いを立てる事もできます。
そのような問いについて、生徒たちが話し合いをし、問いを深めます。
問いの答えを探るため、フィールドワークに行くと色々な答えが見つかります。
例えば、はっきりとした「雨が多く降ると川の水が濁る」は答えですし、答えが見つからず曖昧でも「なぜ雨が多く降ると川の水が濁るのだろうか?」という『問い』だって答えだと思います。
だって、探究学習は色々な「答え」や「問い」が全て「答え」だからです。本当に八瀬と理科のつながりはたくさん、数多くあると思います。
確かに、自分たちの近いところ、例えば「校舎内外」「学校の敷地内」で実験や考察をしたいと思うかもしれませんが、大好きなこの地域をもっと利用して、もっと面白く「探究学習」をしてみてはいかがでしょうか?そうすれば、思ってもみなかった答えがきっと見つかるはずです。
「探究学習」は決まった「問い・答え」はありませんから、もっと利用してみてください。
八瀬 × 数学
新月中学校2学年の林(仮名)です。
数学の立体の体積を求める授業では「カッピーの体積を求めるにはどんな方法があるだろう?」という問いが立てられます。
(八瀬の昔ばなしに出てくる河童、愛称はカッピー)
これについて生徒が話し合います。
例えば「カッピーの体を四角柱、頭を球にして求める」や「カッピーの体を四角柱、頭を立方体として求める」などの考えが出てくると思います。そうしたら実際に考えた方法を使って体積を調べます。最後に自分の考えがうまくいったかの振り返りをしてもらいます。
他にも「二本杉の表面積はどのくらい?どうやって求める?」等の問いがいくつも出てきます。身近なものを数学的に見ることで数学に興味を持つ人が増えると思います。
数学の先生!ぜひ探究的な授業を取り入れてください。
八瀬 × 家庭科・美術
新月中学校2学年の田中(仮名)です。
私は、八瀬と家庭科、美術を繋げて考えました。家庭科と美術の探究授業というのはあまり体験したことないのでは、と私は思いました。この二つの教科は五教科と違い、自身から動いて活動することが多いです。例えば、美術では自分で考えて描くものを決め、それを好きな画材で描くことが出来ます。
そのことを考え、この二つを探究授業に結びつけれれば、「面白い教育」に繋がるのではないでしょうか。
まずは家庭科からです。八瀬には、八瀬そばや八瀬コーヒーなどがあるのを知っていますか。今回は八瀬そばで探究を進めていきたいと思います。昨日12日、吉田勝彦さんの家にお邪魔した際に八瀬そばについてお聞きする機会がありました。何か他のそばとの違いは何か、とお聞きしたら、「特に変わった事はない」とおっしゃられ、すごく驚きました。他の同級生は八瀬そばは「めちゃくちゃ美味しい」などと言います。その違いはなんだろうと疑問に思いました。
そこで、私は八瀬自体の雰囲気に美味しさがあるのではないか、と睨みます。八瀬で作られたから美味しい、八瀬で食べるからこそ美味しい、食べた人はそう感じたのではないでしょうか。
「八瀬そばを八瀬で食べた時と、学校で食べた時はどちらが美味しいのか」私はこれを家庭科の授業で検証したいと考えています。何班かのグループに分け、その班でどちらが美味しかったかを考える、それも十分探究だと思います。何がどのようにどんな時に美味しかったのか、はたまた変わらなかったのか。そのことを友達どうしで確認し合い、または議論し考え合うことが重要になっていくかと考えました。
“黙食”でも八瀬の豊かな自然に囲まれ、小さなせせらぎの音がそよそよと聞こえる中で啜るそばと、学校の教室で風が囁き合う音も聞こえず、隣の人の咀嚼音が小さく聞こえるだけでは、どちらが美味しいのでしょうか。
私は圧倒的前者だと思います。緑の美しい自然や、秋になれば紅葉が綺麗に色つき、それに囲まれながら、身体の芯まで温まる様なそばを啜れる‥‥この検証は八瀬の豊か自然に触れながら、美味しいそばを食し、それでいて八瀬に関する探究もできる、素晴らしい検証かと思います。ぜひ、家庭科の授業にどうでしょうか!
美術の探究授業というのはどんなものが思いつきますか?私は頭を使うと言うよりか、身体を使うような探究授業を考えました。
「自分で動物を探し、それをスケッチする」というものです。
難しいことではありますが、直接八瀬の自然に触れ、八瀬にどんな動物がいるのか、その他を知ることが出来ます。八瀬川にいる魚や山にいる色々な動物、虫などを自分で探し、鉛筆とスケッチブックだけで描く。タブレットは持ち寄らず、ただ動物を模索し描き、楽しむ。ただそれだけの授業です。
ですが、動物だってずっと止まっていてくれる訳ではありません。
時には泳いで何処かに行ってしまったり、その場から逃げてしまうかもしれませんが、その先は自分の記憶に頼ったり、友達と同じ動物を描いているなら友達と考えてその先を描くのも良いと思います。
「羽は〇〇だったよね」とか「鱗の色は〇〇じゃなかった?」とか友達と協力して描くのもまた楽しいと思います。自分の頭でこれは何科の動物だろう、などと考えるのもまた一興。自分で考え模索する、そういう楽しみだったり、動物に対してどんな生態なのか、何の仲間なのか、調べたりせずに仮説を立てたりするのも楽しいのでは?
上手く動物が見つけられない時は、自分で山に居そうな動物を妄想して描くのも良いかもしれません。豊かな自然に囲まれながら自分で考えた動物を描くのも、授業と言えるでしょう。ぜひ、美術の授業に、自然に囲まれながらスケッチしてみませんか?
早稲谷の鹿踊りを探究
最後に、八瀬の芸能について(自分自身が)探究したい!という中学生を紹介します。県指定無形民俗文化財(民俗芸能)の「早稲谷鹿踊(わせやししおどり)」です。この芸能を通して地域の歴史について探究することができます。2日間では完成しませんでしたが、タブレットにまとめてくれたものを転載します。
さいごに
まるオフィスの職場体験では「働くって楽しい!」を伝えるべく2日間で「企画すること」を中学生に体験してもらいます。ふだん企画ばかりしてるNPOですので。
今回の職場体験では「今時代とともに変わりつつある教育がおもしろいぞ!」ということを学生や先生に伝えてほしい、というミッションを出し、4人の中学生がアクションを起こしてくれました。中学生目線の探究学習のアイディアをWeb記事にまとめよう!そして学区内の八瀬エリアを題材にしよう!と決めた彼らは、2日間フィールドワークを重ねました。仕上がった記事はとてもおもしろく、上に載せた文章はほとんど直し無しの原文ママなんです。写真も自分たちでタブレットで撮ったものです。
「初めて企画して、文章をまとめたり、と全部新しいことで楽しかった。最後にいいものができてよかった」「真面目に一人で(執筆)作業することが普段ないので、できたことに驚いた。集中して書けてよかった!」という感想をもらいました。
探究学習の可能性について、感じてもらえましたでしょうか?これからもまるオフィスは地元×探究学習の魅力を伝えていきます。
(編・加藤拓馬)