ちょこっと記事
たった1本の枝が教えてくれた「1ミリ」の信頼

新年度が始まりました。この4月5日で、私が気仙沼に来てから丸15年が経ちます。自分にとっても一つの大きな節目。そんな今回は、3月に行ってきた「ワークキャンプ」の紹介をしたいと思います。
14人で挑む01ワークキャンプ
行き先は今回も、奥能登・輪島市の町野地区。ワークキャンプとは、ボランティアのための合宿プログラムのことです。高校生や大学生と一緒に集会所に泊まり込み、三食自分たちで自炊し、夜は雑魚寝。昼間は地元の方々のニーズを自分たちで集めて、ボランティアに出かけていく。そんな4泊5日を過ごしてきました。
参加してくれたのは、全国から集まった14人の若者たち。今回は高校生の方が多く、気仙沼以外にも東京、島根、同じ県内の金沢、そして地元・輪島からも飛び入り参加が。同じ年代ですが、全国津々浦々から多様なメンツが集まりました。(私もそれに紛れて寝袋を並べてきました)
ワークの内容は、被災した農家さんのお手伝いや、復興まちづくりのイベントに向けた準備など。特に印象的だったのは、そのイベントに地元の山の木を活用しようと熱い思いを持って準備に取り組む地元の方々です。杉の丸太の皮を剥いだり、山から枝を拾ってきて細かく砕いてウッドチップにするワークをしました。ウッドチップはイベントの広場に敷き詰めるものです。
夜、高校生の一言
私たちの運営する「01ワークキャンプ」には、6つの行動理念「ワークキャンプ・コード」があります。その1つ目が「世界をちょっとでもよくしたい」という項目です。自分たちが学びに行くことが主目的ではなく、まずは社会問題の解決を目指そう、という利他の姿勢を大切にしています。
毎晩、小グループに分かれて「今日、どのコードが自分に当てはまったか」を語り合うのですが、ある高校1年生の言葉に感動してしまいました。彼は「① 世界をちょっとでもよくしたい」を選び、こう言ったのです。
「枝拾いがめっちゃ楽しかった。これがウッドチップになって桜フェスの広場に敷かれれば、輪島の子どもたちが転んでも怪我をしない絨毯になる。そう思うと、たった一本の枝でも世界が変わるのかぁって思えた」
ワークキャンプの魅力は、まさにこの感性に詰まっているのだと感じます。
この話を聞いて思い出したのが、私も企画に携わった1月の「全国ワークキャンプフォーラム」。そこで、NPO業界の大先輩の能島裕介さんがこう言いました。「自分たちが動くことによって社会が1ミリでもよくなっていくということに対する信頼が、この場にはある」。それこそがワークキャンプ経験者の共通点だ、と。(フォーラムの報告書はWebで)
私自身、学生時代に中国の村でワークキャンプを繰り返していました。当時、具体的に何ができたかは分かりません。でも「自分が動けば、世界は1ミリでも変わるかもしれない」という確信だけは、間違いなくあの4年間で得ることができました。だからこそ15年前、私は「1ミリでも気仙沼がよくなるかもしれない」と信じて、このまちに飛び込むことができたわけです。
ワークキャンプを通して、自分への信頼、そして「自分が動けば社会はよくなる」という社会への信頼を育んでいくこと。その積み重ねが、一人ひとりの人生を豊かにし、社会をよりおもしろくしていく。新年度を迎え、改めてそんなことを感じています。
(文・加藤拓馬)




