ちょこっと記事

マンガで分かる探究学習

中学生や高校生が一人ひとり問いやテーマを立て、地域でプロジェクトを企画する中で自ら学びを生み出す。昨今よく言われる「探究学習」の中でも特に「プロジェクト型学習(PBL)」と呼ばれます。私たちは「マイプロジェクト」とも言います。私たちは、中高生が年がら年中、まち中どこでも、思いっきりPBLを通して探究できる地域を目指しています。ただ、そもそも探究だのPBLだの言っても地域の人や保護者に伝わることはほとんどなく、そこで、PBLの価値を発信するために生み出されたのが、マンガで分かる探究学習!「中高生の問いストーリー」というサイトです。

問いが変化する物語

2022年3月11日に1作目のマンガを公開し、同8月まで計12作品をリリースしました。どれも気仙沼の実在する中高生による、探究の実例をマンガにしたものです。決してサクセスストーリー的な事例ばかりを並べている訳ではありません。試行錯誤を重ね、探究のテーマである「問い」がどのように変化していったのか、その物語を追っかけるマンガなんです。まさに「問い」の「ストーリー」というダジャレですね。読みながら、私だったらどんな問いを立てるだろう…と思いをめぐらせ楽しんでもらえたら嬉しいです。そして今年も7月〜9月にかけて、全8作品を「シーズン2」としてリリースします!

シーズン1の記念すべき1作目の主人公・中学生あいゆさんは、「地元の水産加工の工場で働いている外国人実習生は、地震が起きたらちゃんと避難できるんだろうか?」という問いに出会います。日本語の警報は伝わるのか、地域の避難所では受け入れてもらえるんだろうか…。彼女は学校、会社、地域を巻き込んでアクションを起こします。マンガで描かれているのはここまでですが、その後「いざというときに助け合うには、実習生と地域の方の平時からのコミュニケーションが大切で、それはどうやったら仕掛けられるだろう?」という問いに進化していきます。

伴走者の役割

私たちコーディネーターは、中学生のころからあいゆさん(春から高校生)のサポートをしてきました。ただ、彼女はそんなサポートがなくたって、きっと自分で意志ある行動を起こしたことでしょう。私たちの役割は、中高生の自走を応援する伴走者(ガイドランナー)ですので、ぐいぐい引っ張ったり、背中をぐいぐい押したりしません。基本は、中高生の問いに「問いかける」だけです。「それはどうして?」「どうやったら実現できるだろう?」「何に気づいた?」「それはどうして?」そしてときどき、その問いに合った専門家や地域のキーマンを紹介します。コーディネーターは無力で無責任だけどしっかり貢献する、という絶妙な立ち回りを追求します。

彼女だけじゃなく、中学時代から関わりのある高校生は他にもいます。小・中・高と学校の枠にとらわれず、地域で伴走できることは私たち社会教育のプレーヤーの強みです。それぞれがどんな問いの進化・深化を見せてくれるのか、これからも楽しみです。

(文・加藤拓馬)

まるチューブ

ピン留めニュース

タグ一覧